電車男

中野独人のサイトを読んで、キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!と感じたからには、観に行くだろう。やっぱり。
決して、姑獲鳥の夏を観るのが怖くて、そちらに走ったわけではない。
 
公開からかなり経ってるためガラガラだろうと思ってたのに、満員御礼。しかもアベック率高! 今風のファッションに身を包んだ人々が、おたく青年の恋物語を観に来てる。みんな何か勘違いしてやしないか?
今風のファッションに身を包み、美容室で髪をカットして、心地よいB.G.M.が流れていたとしても、電車男の中の人は「おたく青年」のままなんだぞ!
 
ラストシーンで、電車男がジャケットやYシャツを脱ぐと、中から現れる「百式」丁シャツ。ここは笑い所では無い。いや、正直temaも映画館で観た時には苦笑したのだが..
おたく青年は、自分が「おたく」であることを誇りに思っている。更に言えば、おたくでない一般人、特に流行のファッションを追い続けている人たちを軽蔑している。
 
ニューロマンサー(ウィリアム・ギブスン)」に、次のようなセリフがある。
「たかが肉だ」
肉体など重要ではない。真に重要なのは精神であり、脳の中身である。ましてや外見などに価値を求めるなど、愚か者のやることだ。
これが、(おそらく大部分の)おたく青年の価値観である。その価値観から見ると、電車男の行為は堕落である。百式丁シャツは、その堕落に対する彼なりの抵抗だろう。「心の中までは変わっていない」という言い訳である。
 
この物語は、現代日本版マイ・フェアレディーというだけでは無い。もう一方の価値観から見れば、ある男の堕落の物語でもあるのだ。

電車男

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