容疑者χの献身(東野圭吾)

 
東野圭吾は時々意地悪である。だがどうもその意地の悪さが受けているフシがある。

以下ネタバレ注意!

・ ある騎士の物語(島田荘司
・ カサブランカ(マイケル・カーティス)
・ シラノ・ド・ベルジュラック(ジャン=ポール・ラプノー)
この3つは、temaにとって大切な物語である。男の、ドン・キホーテ的な愛を描いた物語である。
 
「そして、ここに4つ目の物語が在る。これが愛だ。しかし、何という愛だろうか」
後5頁を残して電車を降り、職場に向かうtemaの胸の中には、既にこの本の指定席が用意されていた。
昼休みになると同時に本を開く。
読む。
orz
 
なんじゃこりゃーっ!
なぜ、なぜそこでそーなる湯川学、いやさ東野圭吾
あんたは昔っからそうだった。「放課後」だって「秘密」の時だって、最後の最後でやっちゃいかん事をやっちまう。ひょっとすると何か、○年男に恨みでもあるんか?
 
非常に読後感が悪い。
読後感の悪さと言えば若竹七海だが、こちらの読後感悪さは許せる。許せるどころか、それが売りである。
なぜ若竹七海のアレは良くて、東野圭吾のコレは許せないのか。
多分、若竹七海のアレは、登場人物の悪意が引き金になっているからである。だから、悪感情の向ける先が在る。一方東野圭吾のコレは、登場人物の善意が引き金になっている。それがもう気持ち悪くて、気持ち悪くて…
 
とまれ、パズラーとしては水準以上である。解かれた謎は、主人公が目指している四色問題の証明の如くエレガントである*1
文章についても、さすが直木賞を取った一冊である。てラストシーン以外はお薦めできる。多分、このラストも女性には受けるのだろう(偏見)。
 

容疑者Xの献身

容疑者Xの献身

*1:ちなみに、現在の四色問題の証明は力業で証明されており、「エレファントな証明」と呼ばれてるらしい