メモリー(ロイス・マクマスター・ビジョルド)

 
土曜日から体調が悪く、ほとんど外には出かけてない。
しかし、本日だけは出かけなくてはならない。
なぜなら、今日は「メモリー」の発売予定日だからだ。
 
ロイス・マクマスター・ビジョルドは、ヒューゴー賞を5回取っている。
ありえない。ハインラインですら4回である。
現在、世界最高のS.F.作家と言っても過言では無い。
 
「メモリー」は、世界最高のS.F.作家を代表するシリーズ「ヴォルコシガン・サーガ」の最新作である。いや、最新作であった。
米国での出版は1996年である。10年間も何をやっていたのか。
そもそも日本での出版予定は、2005年の7月であった。2006年では無い。
 
そもそも創元は、いい作家を抱えているのに本を出してくれない。
ワイルドカード・シリーズ」の4巻とか「デュマレスト・サーガ」の最終巻とか「ブルー・マーズ」とか「揺籃の星」の続…いや「揺籃の星」の続編はいらない。
 

以後、ネタばれ注意!

 
実は、まだ80頁しか読んでない。
それなのに既に主人公、可哀想な状況である。今までが良い思いし過ぎてたんだ、という話もあるが、白髪や烏の足跡の話は読んでて堪らない。
堪らないのに、心は鷲掴みである。別にセンス・オブ・ワンダーがあるワケでは無いのに、S.F.として素晴らしい。
やはりこれは文字の力文章の力である。80頁の中で、特にそれを表している一文を引用する。

この単純で道理にかなった言葉のどこに、マイルズを、ニードル手榴弾で胸を床一面に吹き飛ばされたあの瞬間に引きもどす力があったのだろうか。

その言葉のどこかに、それだけの力を秘めている。そんな小説である。
 

メモリー 上 (創元SF文庫)

メモリー 上 (創元SF文庫)