ジャンパー(スティーブン・グールド)

 
最近ちと疲れ気味のため、元気の出る小説を読みたくなり、再読。
かのグールドが断続平衡説を下敷きに書いたS.F.である。

以後、ネタばれ注意!

…というのは真っ赤な嘘。名前は似てるものの、「ワンダフル・ライフ」の作者とは全く関係ない。ついでに進化論とも関係ない。テレポーティション能力を持った青年の恋愛&冒険物語である。
 
この小説、S.F.ではあるが、サイエンスの部分はほとんど無い。
テレポーティションを扱ったS.F.といえば「虎よ、虎よ!」が有名だが、かの作品のようなセンス・オブ・ワンダーも無い。
ストーリーもご都合主義的な部分が多く、突っ込み所もかなりある。
けれども、読んでて楽しく、ちょっと悲しく、少し考えさせられ、最後には幸せな気分になれる。イメージとしては、スパイダーマン(サム・ライミ監督版)である。
 
この小説、映画化が検討されてるらしい。しかし、興行的には残念なことになると思う。
なんせこの小説、SFX的な見せ場が少ない。テレポーティションの描写にしても、小説内で「安っぽい特撮のようだ」という記述があるくらいだ。
でも、SFXに費用をかけなくてすむ分、シナリオや演出に力を注いでほしい。モノは良いのだから。

なお、この小説に続編があることが判った。
また、本が増えてしまう…
 

ジャンパー―跳ぶ少年〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

ジャンパー―跳ぶ少年〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)