スカイ・クロラ(森博嗣)

 
森博嗣原作のこの小説が、押井守監督で映画化されるらしい。
正直、この2人の相性は悪いと思う。
 
森博嗣の小説は映画に向かない。普通に読んでいてはセリフが繋がらないのだ。たった一行のセリフの裏に、何行もの論理的ステップが隠されているからだ。
セリフの裏にある理屈が判れば楽しめるが、それには複雑な論理的思考を求められる。
映画のスピードで理解できる人は、よほど頭が良い人だけだろう。
  
押井守の映画には脳天気な原作が必要だ。勝手にやらせてると、「天使のたまご」や「紅い眼鏡」などワケのワカランものを創ってしまうからだ。
世界観を共有できれば楽しめるが、それには膨大な想像力を求められる。
映画を一回観ただけで世界観を共有できる人は、マニアだけだろう。
  
結果、情報過多なのに説明不足。膨大な想像力と複雑な論理思考を求められる映画になる。商業的には成功しないだろう。
ただし、2人とも魅力ある言葉・シーンを創ることができる。
ワケが分からないがどこか魅力的で、何度も繰り返して観る度に新たな発見がある。そんな映画になると想像する。
 

スカイ・クロラ

スカイ・クロラ